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ハン・ガンのソングブック 2020/02/01


二月のはじめ。親戚・いとこの家族と食事。

そして今日はハン・ガンの『そっと 静かに』(古川綾子訳、クオン)を拾い読みした。

『菜食主義者』や『ギリシャ語の時間』などのようには有名ではないかもしれないけれど、著者がそれまでに耳にしてきた「歌」を題材に書き綴ったエッセイ集だ。

著者いわく「書きたいのに、書かなければいけないのに、書けなかった」時期に書かれたものだという。

前に読んだときはあまり印象にのこらかなった。
そして今日気づいたのだが、わたしはこの本が好きである

ここには休止符の感じがある。沈黙であることのしるしが、しかし言葉で示されている。

おおきな流れのなかを渦がうねっていくような音からはなれ、河岸にあがって服の裾を絞り、あたりをゆっくり見回しているような。

そんな時間の流れ方を許す世界のやさしい印象がある。