ひさしぶりにTHE BLUE HEARTSの「情熱の薔薇」を聴いていたら、
もうかれこれ5年以上は前になるだろうか、
カラオケでブルーハーツをうたう友達の声を思い出した。
カラオケはすごく苦手で、小学生のときから苦手だったが、
その友達とだけは、素直な気持ちで何度か行った。
ものすごく楽しいとかではないけど、気負わず、 居心地も悪くなかった。
なぜだろう?
いや、答えは分かっているのだが、言葉にするのは難しい。
…いや、簡単か。彼の歌がすごくよかったんである。 とても好きだった。
ただそのひとでしかないという感じ。
ひとりで勝手に歌ってるのにたまたま立ち会っている感じ。
ほんとうにめったにないが、 なにかの流れでカラオケボックスにいると、
たいてい、自分は歌も、歌うのも、好きじゃないんじゃないか… と思った。
伴奏がはじまると萎縮するし。
でも彼が最初にブルーハーツか斉藤和義か「シークレット・ カクレンジャー」を歌ったら、
そのあとはつらくない時間になった。 歌はつねに人にきかせるために響くのではなくて、
帰り道とかに、 歩いたり自転車を漕いでいたりするときに思わず口ずさむものでも あって、
カラオケボックスではそういう歌は歌とみなされないが、
彼と行くとそういう歌も肯定されている気がしていた。