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きちんとテーブルを 2020/02/19


「そして、お腹がすいたかい、と言って冷蔵庫代わりに窓の外に置いた袋から卵を取り出した。そしてブリキ缶の中に詰めた砂にアルコールを染み込ませて、火をつけると、オムレツは中がふんわりと、とろけるようじゃなくちゃ、と言いながら焼き上げて、古い皿に盛り付けた。テーブル代わりにしている背もたれのとれた椅子の上にきちんと、古びた、でも洗濯をしてアイロンのかかったきれいな赤い布をかけ、ちょっと固くなったパンに、ニンニクの欠片を擦り込んで渡してくれた。どんなときでもね、僕はこうやってきちんとテーブルをセットするんだよ。それから食事をするようにしてきた。石工時代からの習慣だ。貧乏人はそんなことを、とっても大切にするものなんだ。」

これは岸 真理子・モリア『クートラスの思い出』(リトルモア、2011年)からの一節。240頁。おやすみなさい。