· 

溺れた巨人 2021/01/07


昨夜はどうしてもきつかったので七時くらいに寝た。

 

目覚めるとまだ暗く、おそらく2時とか3時くらいだろうと思ったが、

目を光に晒したくなかったので時計やスマホは見なかった。

とにかくいま起きるとまた眠れなくなるからもう一度つとめて寝ようとしてみた。

 

誰かから連絡がきているだろうかとか、どんなことが外で関心をもたれているのだろうかとか、

そういったことにとらわれていない時間が休息だと、温まっていた足を感じながら考えていて、

いま・ここで生活している自分ではない自分のイメージを探し始めていた。

 

たとえば、リリパット人にとらわれたガリバーだとしたら、とか。

その仰向けになったガリバーを経由して思い出したのは、

J.G.バラードの短編(いま調べたら「溺れた巨人」という題名だった)に出てきた巨人だ。

前日に編集者と話していて、J.G.バラードが引き合いに出されたのを覚えていたからでもあった。

 

ずいぶん昔に読んだのでうろ覚えだけれど、巨人の溺死体が海岸に打ち上げられ、

人々は最初それを恐々と眺めているが、ついには触ったり、はては上に登るものまで出てくる…。

いまこうして横になっている自分が「小人」の海岸に打ち上げられた遺体だったら、というのは、

だいぶ現実とかけ離れた想像だ。

 

海岸は小さく感じられるだろう、いや、正確には、遺体だから感じようもないはずだが、

いずれにしても海(惑星)の大きさの違いを目で感じられるほどには大きくはないだろう…とか、

そんなことをぼんやり想像していたが、さすがに退屈に負けて立ち上がり、電気はつけずに時計を見た。

 

まだ22時だった。

 

諦めて起き、届いていたメッセージを確認し、友人とやりとりして、

また近くやる予定のオンラインイベントの打ち合わせをした。

ふたたび床に戻ったのは深夜1時を過ぎてからだった。

変な時間だった。