· 

インタビュー 2022/01/17


晴れ。出勤退勤。仮眠。遅々として進まない翻訳書き物その他の計画。

 

座っても集中できず、進みが悪くなると、漠然とした不安も忍び込んでくる。でも、こんなときこそ進めるんだと思うーーどれだけ出来がよくなくてもいいから、どれだけ起きていてもいいから、どれだけ散歩してもいいから、どれだけコーヒーを飲んでもいいから、どれだけ遅くてもいいからーーもしそれがだれかに強いられたむなしい仕事でないのなら。

 

いままでは、落ち込んでもいいんだよという氾濫した声に(心の底から打たれたことはないくせに)かんたんに従いすぎていた。でも、なにかを作りたいと思っているなら、自分の尻に蹴りを入れるんである。それは自分を痛めつけることにはならず、落ち込んだ心を撫でさすっているよりもずっと、自分を支えることになるはずだーーリラックスするのも自分は独りだと気づくのも快調なときでいい。そうでなくて、どうやって創造の過程に間近に立ち会うのか。

 

…こうした思いや考えは、ふとよぎることはいままでも何度もあったし、とりわけ去年の年末ごろからはより強く思うようになっていた。だから、いま、進みが悪い夜に急に思いついたことではないわけだけど、今日の朝にThe GuardianのライターMarissa MossがおこなったアメリカのフォークロックバンドBig Thiefへのインタビューは、そういう気持ちの背中を押した。はじめから終わりまで、大好きなバンドの知られざる苦闘が明かされていて「読めてよかったな」としみじみ思ったけど、末尾のやりとりはとりわけ心に残った(ミーク、クリヴチェニア、レンカーはみなバンドのメンバー):

 

////////////////////////////////

ミークは数日前のニューオーリンズでのショウで身を寄せ合ったときにクリヴチェニアに言われたことを覚えている。「きみは『イエスと言い続けるのを忘れるな』って言ったんだ」かれはそう言った。「それでその夜はずっと自分に言い聞かせていた。イエスと言い続けろ、なぜならノーと言うのはあまりに簡単だから。たとえ間違った音を出したとしてもだ。こう言うんだーー『イエス! 音を間違ったぞ! イエス!』」

「即興の寸劇(スキット)みたいなもんだよ」クリヴチェニアは言う、「ノーと言ったらその寸劇がまじで台無しになるんだ」

「で、突然」レンカーが割って入った、「なにかを創り出してるんだよね」(川野訳)

////////////////////////////////

 

傷はどこにも行くあてがない

だれもが家を必要としていて

守られなければいけない

ーーBig Thief "Forgotten Eyes"