晴れ。夏の雲。喫茶店で翻訳仕事してから、朝出勤。
先週が明けてみると、Kevin Morbyのアルバム『This is a Photograph』は自分のなかで今年ナンバーワンになった感じがある。
とりわけ「Intro」ふくむ3曲目の「A Random Act of Kindness」。
シングルリリースの発表時のモービー本人によるコメントざっくり訳:
「「A Random〜」のなかで、ぼくはそれぞれの行がふたつの完全に異なる仕方で解釈できるような曲を書こうとした。たとえば、「out of trust...」と歌うとき、なにかにたいする信頼の感覚を失っているようにも聴こえるし、信頼の感覚に突き動かされて行動しているようにも聴こえる。この歌は、人生の暗い時期にも昇ってきて、ただそのひとの苦痛と受難をさらに照らし出すような、そういう太陽の容赦ないあり方をーーそして、そういう時期にはしばしば、見ず知らずのひとの無私のふるまいがひとりの人間を生かすことがあるということを、歌っている」
Lift me up, be my friend,
Through a random act of kindness
One that's done from blindness
--"A Random Act of Kindness"
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【一部訳】
(…)
日がのぼる、光がぼくの手を透かす
日がのぼる、途方に暮れていても
日がのぼる、バンドを鳴らせ
(…)
ぼくを黙らせてくれ
もしできるなら黙らせて
ぼくの手を取ってくれ
黙らせて、友だちになってくれ
きまぐれな親切で
街を出る
街を出るよ、しばらく
しばらく街を出るよ、明日には戻る
視界の外から、どこからともなく
悲しみから、薄い空気から
ふれあいから、悪意から
孤独から
影を落とす月下の兵士たちから
くるくる回りながら体を交わして
水場を渡って、宇宙を横切って
踊る者たちから
ぼくを引き上げてくれ、手を引いて
引き上げてくれ、もしできるなら
引き上げて、友だちになってくれ
無知であることからなされるような
きまぐれな親切で
日がのぼる
日がのぼる
日がのぼる
日がのぼる
日がのぼる
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ひとつの出来事にある、二つ以上の意味を読めるかどうか。そこから誘発される複数の感覚や感情を感知できるか。明るいとか暗いとか、いいとかわるいとか、つらいとかうれしいとか、前向きだとか後ろ向きだとか、その「どちらかひとつだけ」なんてことがないとわかれば、どちらかだけが支配的な言葉、また歌の空疎さに気づくはずだ。
『This is a Photograph』のほかの曲も珠玉だ。相反する(と、言葉のからくりで見えているだけの、しかし同時にそこにあるたくさんの)感覚を抱えてこそ生きている、生きていける、聴いているとそれがわかる。