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May 2023



五月:黒田ゆな


2023/05/03|ソファで布団にくるまって書いている。窓を開けると寒いだろうと躊躇する。知らない人たちと遊んでいる楽しげな夢を見た。部屋の中で大きな机を囲んでいた。Rに昨日電話した時「春のゆなさん」という感じがしたらしいがまさにそうだと思う。笑ってしまいそうだ。説明を求めるでもないくだらない話を、なかなか話す機会がないからする。窓を細く開けた。空気が流れ込むけど冷えてはいない。ただ布団から出ると寒いので、カッコが寒いのか代謝が上がってないかだろう。鳥の声と耳の近さがバランスを崩している。全部粒子になって声と自分の境い目がない。音の中にいて音である。鳥が朝を食むと囀りになるからハミング。ふくらんだパン、ふつうのパン、いろんなパンがあったとしよう。焼いてそのまま丁度良い大きさのパンなら良いが、ふくらみすぎるのは少し加減して、小さくなりすぎるのは少し大きく焼くと良いと、誰かが夢の中で言った。そういえば昨日PCで仕事をしてて途中で「あまりにつまらない」と止めてしまった。子をなせないツバメがいたとして、懸命に巣を作っているのが思い浮かんだ。

 

2023/05/09|曇った空に鳥が鳴いている。気温は低そうだけど穏やかな夏の朝みたいだ。朝4時台にも起きたがまだ暗い空に月が浮かんでいた。まっきいろのまるい月で寝るときも浮かんでいるのを見た。Sを思い出す。騙されることを極度に恐れたり虚栄心を見せなきゃいけなかったり、そうしないといけない環境で生きてきたのだと思う。心配だというときは自分の立場が希薄になる時の正当化で、態度や雰囲気が変わるのは焦り。その人の言葉に向き合いすぎないように、連絡しなくなった。今日は日記が進むような止まるような。

 

2023/05/15|雨がやんだ。しっとりして気持ち良い。雨上がりもしくは雨がいつでも降りそうな、夏にもっと近い季節。なんだか記憶にあるような感じがする。目を瞑るとすごく気持ちよくて。あれはいつの記憶なのだろうか。部屋の中で猫の存在が咲く。雨が降り出したみたい。昨日はMさんとS公園へ行った。ヒースが何種類もあった。だんだら丘を下って下の東屋まで来て持ってきたコーヒーを飲んでサンドイッチを食べた。下から見上げる丘が綺麗だった。記憶の中の美唄のT公園みたいだ。母の日だからとMさんにドトールでケーキセットをおごった。滅多に支払わせてくれないけど。実母だと色々あってなかなか出来ない。でもそういう関係性、リアルだと思う。夢で複数人で車に乗っていて私は助手席なのにスピード違反で点数を引かれた。夢の中ではそういうルールなのだ。罪の意識を抑え込んでいるのかなぁ。捉え方もわからない。雨がいつしかやんでまた雨後の雰囲気に包まれている。

 

2023/05/20|曇ってるけど空が明るいので晴れるかもしれない。車を2台いっぺんに運転してつかまる夢を見た。こんなに立て続けに夢で見るのは不安だからか。不安を処理してくれているのかもしれない。クリスタルのような囀りがもやを払ってくれる。井戸の中に差す光みたいだ。いろんなことが転換していく季節なのだ。昨日は仕事を早退した。近所の人がケンカしているみたいで、早く帰りたかった。時間つぶしにハンバーガー屋に寄った。ポテトを食べて携帯をいじって、でも頭が痛かった。どうしても食べきれないポテトを捨てようとしたらお店の人が来ていやな顔せず片付けてくれて、気が和らいだ。最近少し敏感になっている。敏感だけどそれと共にあれていて、心と近くなってゆく。昨日仕事早く帰って良かった。近頃とっても眠たい。すごい久しぶりに部屋を片付けた。そしたら気持ちがスッキリしている。こんなに変わるものだろうか。敏感だからか。ほんの少しなのに。ほんの少しでこんなに変わるのだ。片付いた部屋に猫が水を飲みに来た。ひげがピンと張って美しい。白いボウルに張った水はグレーで、ひげが透明なのがわかる。なんだかうれしそうだ。確かに部屋と仕事の境目がなくなって毎日とりあえず仕事に向けて生活していた。涼しい朝を何度か迎えて6月になるのだろう。

 

2023/05/26|5:50。すごい明るい。光がいっぱい。光がテレビに映って濃い青と緑の光の玉が順番に並んでいる。今日も良いお天気みたい。猫がめっちゃ威勢よく爪を研いでいる。朝は気合の入り方が違うのだろう。何か夢を見ていた。見ていたら猫が起こしてきた。昨日ネルノダをもらったので飲んで寝た。あと寝る前に甘酒を作って寝た。ぐっすり寝た気がする。4時とかに起きなかったから。まだ眠たいので眠ろうと思うけれど。月末、東京遊びに行くんだなって気分。光浴びながらまた寝そう。午前中用事があるので少し早めに出てお茶でもしながら時間まで過ごそうか。光は可憐にまつ毛にまとわりついて遊んでいる。光がまつわるからまつ毛。お隣の家の白いツツジ、花が落ちて白いペンキをまき散らしたような白さが綺麗。その奥の家のクレマチスが素敵。糸でつないだ紙のガーラントみたい。最近シジュウカラなんかもよく来る。ヘリコプターの音もする。聴いているとまどろんできて空の中にいる感じさえする。運ばれてくる爽やかな空気。最近深呼吸していなかった。


黒田ゆな

1992年生。好きな食べ物:お茶、いちご


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