先月は旭川でこればっかり聴いていた。
小学校のときに一度、中学校に行かなくなって通った施設でもう一度、宿泊行事で芦北に行ったときに見た八代海(不知火海)を思い出したりした。小学校のときは喘息の発作で眠れなくなった夜中に波の音を聴いたのではなかったか。炎症を起こした喉の音と波の音は重なっていたはずで、とするとあのとき海と呼吸していた。
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海底の修羅
詩:石牟礼道子
歌:坂口恭平
墓場を出て丘をくだる
流れをくだる
舟はもういらない
わたしが舟だから
海底だと思っていたのは
頂だったのだ
不知火海
墓にするには浅すぎる海
陽が霧のように溶けこんで来たので
天と海が そのとき
ゆるりと入れ替わったのだ