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『感光2』執筆者プロフィール(掲載順)


真殿琴子(まどの・ことこ)

 1992年生まれ。兵庫出身。博士課程在学中。専門は宗教学、イスラーム思想。

 

日常の活動が制限されても、生活は毎日毎秒続いていくものです。せっかくだし、と前向きに考え、普段やってこなかったことに少しずつ取り組んだりしています。これを機にベランダの掃除もしました。今では、きれいになったベランダでのほほんとすることが、晴れた日の小さな楽しみになっています。そんな風に、日々の中で新たな発見と遭遇するたびに、花や草が自然に太陽の方に向くように、人間も光を求めて生きていくのだなあと感じます。

 

→エッセイ「ベランダから」


堀江里美(ほりえ・さとみ)

 1981年、東京生まれ。ほそぼそと翻訳を続けている。訳書は『ザ・ガールズ』エマ・クライン、『美について』ゼイディー・スミスなど、いろいろあるけど多くはない。ときどき『WIRED JAPAN』の記事の翻訳もしている。いまは子ども向けの本を翻訳中。

 

うちの庭にやってくる地域猫たち。常連は三匹。シャム猫っぽい毛色をした寄り目の「シャムチ」。黒猫の「クロチ」。しっぽがくるりと曲がったキジトラの「チビチ」。みんなオスで、ややぽっちゃりしている。パトロール中のボス猫がぬっとあらわれたときは、三匹で団結して追いはらう。先日、おなかの大きなメスが遊びにきた。たまにしか見かけない子で、桜耳ではない。あせった。うちの床下で生まれてしまったら……すかさず、里親になってくれそうな人たちの顔を思い浮かべる。いま連絡をとるのは時期尚早か? ところが数日後、ふらりとやってきた彼女のおなかは、すっかり小さくなっていた。緊急事態宣言も発令され、家ですごす人が増え、エサ場が急に増えたのかもしれない。今日も庭で不要不急の集まり(昼寝会)をひらいている彼らを見て、うらやましい、と心から思った。

 

→エッセイ「自分だけの庭」


黒田ゆな(くろだ・ゆな)

 1992年生まれ。札幌出身。フリーライター。

 

アイヌの人々は狩りで獲ったクマに、神の国にお送りする儀式をした。人間のところに来てくださって、体を温める毛皮をくださって、お腹に入ってくださった。またいらっしゃってくださるように大事に大事にお送りした。小グマを大切に育て、大きくしてまたお送りした。動物も火も道具もこちらにきてくれるものだった。そんな話をちらちら聞くようになって、きっと飼っていた猫も私のもとへ来てくれたのだと思うようになった。

 

→エッセイ「猫のこと」


樋口武志(ひぐち・たけし)

 1985年生まれ。福岡出身。翻訳業。訳書に『insight(インサイト)』『無敗の王者 評伝ロッキー・マルシアノ』『世界秘境マップ』などがある。

 

日本は社会全体が学校みたいだ。「Stay Home」とか「3密」なんかは避難訓練の標語みたいだし、先生に言われたから自粛するし、(謎の)ルールを守ってない人がいたら先生に告げ口するし。そもそも政治家は先生なんて呼ばれているし。逆に、自主的に手洗いうがいマスクをするから感染爆発が起きていないのかもしれない。学校のような社会は好きじゃないけど、図書館が開いてないので困っている。

 

→エッセイ「遠い国」


川野太郎(かわの・たろう)

 1990年生まれ。熊本出身。翻訳業。訳書に『長い眠り』『ノー・ディレクション・ホーム』(共訳)『グレタと立ち上がろう』など。

 

祖母と話した翌月、家で古い写真アルバムをめくっていて、小さい頃の自分と弟と祖父が、正月の八景水谷公園で「どんど焼き」をしている写真を見つけた。祖母の語りの力で、当時は(もちろん)見えなかった、公園の地層が、その写真に見えた。だれかが広場の畑を片付け、そのことを知らない子供が芝生で遊ぶようになる。でも忘れられた畑は下の地層にずっとあるし、なにかのはずみに足元から立ち上がってくる。わたしたちのつくる地層はどんな色だろうかと思う。

 

→エッセイ「いまは広場」


 阿部結(あべ・ゆい)

 1986年、宮城県気仙沼市生まれ。新国立劇場の演劇宣伝美術画制作、書籍装画や雑誌のイラストの制作など各媒体で制作。共著『世界不思議地図 THE WONDER MAPS』(佐藤健寿 朝日新聞出版)『サラリーマンのごちそう帖』(藤枝暁生 朝日新聞出版)。

 

親友、亀の色ちゃんといっしょに毎日を過ごしています。

色ちゃんはいつも仕事をする私の背中を見つめています。

ふりむくと、必ず私のことを見ているのです。

たまに、水槽から出していっしょに遊んだりおさんぽをします。

この間は、満月を見に公園へ行きました。

いっしょにいる時間が増えたことで、前よりももっと良い関係になれたように思います。

 

→エッセイ「おなじ景色をおっかけて」


イ・ヒョンジュ(い・ひょんじゅ)

 1992年生まれ、ソウル出身。文芸編集者。

 1992년생.서울 출신.소설 편집자.

 

猫を二匹飼っているのですが、飼い主がずっと家にいるからか、終日甘えてくるので、それだけが生きがいです(笑)猫に話しかける時は主に日本語で話すのですが、たまに韓国語で喋ると顔が「?」になるので、かわいいです。

고양이를 두마리 키우고 있는데요,요즘 코로나 때문에 제가 계속 집에 있어서 그런지 둘 다 완전 애교 작렬입니다...행복해요. 평소에는 고양이들한테도 일본어로 얘기하는데,가끔 한국어로 말을 걸면 “얘 지금 뭐래니” 이런 표정으로 쳐다보는게 참 귀여워요ㅎㅎ

 

→エッセイ「居場所/내가 있을 “그 곳”」